本研究では、ミストCVD法という有機材料、無機材料のどちらも成膜可能であり、かつ溶液原料を用いながらも、気相法で形成することができるというユニークな手法を有機無機ペロブスカイト太陽電池に適用することを目標に研究を行った。 本研究では、有機無機ペロブスカイト用のミストCVD装置の立ち上げから、pn制御/混晶化、太陽電池/発光素子に関する研究を目標とした。 当初の計画であった有機無機ペロブスカイト成膜用のミストCVD法の装置を開発し、有機無機ペロブスカイトの形成に成功した。さらに、特徴的な結果として、本研究では成膜温度を40℃としているにも関わらず、液体の凝集などが発生せず、有機無機ペロブスカイトの結晶が得られた。これは、小さなミストの特徴である少量の熱エネルギーによって溶媒が容易に蒸発することによるものと考えている。40℃といった低温での形成はPET基板の利用が可能となる温度であり、より安価で柔軟性かつ、可搬性のある太陽電池の形成に繋がる可能性を有している。 また、最終的に太陽電池などのデバイス検討には至らなかったが、ミストCVD法の溶液にできればどのような材料も形成できるという特徴を活かし、原料溶液に混晶材料を同時に混ぜることで混晶化することに成功した。混晶化では、BrとCl原料を使用し、それぞれ混合したものをミストCVDの原料に利用することで、発光波長の異なる有機無機ペロブスカイト薄膜の形成に成功した。
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