研究課題/領域番号 |
15H06358
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井渕 貴章 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90755646)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | パワーエレクトロニクス / 電磁環境 / SiCパワーデバイス / 寄生成分 / スイッチングノイズ |
研究実績の概要 |
次世代パワー半導体デバイスの高速・高周波数スイッチング動作の適用による高電圧パワーコンバータの高効率・小型軽量化と、それに伴って懸念される電磁ノイズの低減・抑制を両立させる回路設計が求められている。本研究は、高いレベルでの省エネルギーや電磁環境両立性の実現に向け、回路理論だけでなく電磁気学に基づいた回路構成要素の高周波・大信号特性評価、回路内の寄生成分がパワー半導体デバイスのスイッチング動作に与える影響の評価、および回路配線間の電磁結合の解析に基づくノイズ伝搬経路のモデル化に関する検討によって、開発プロセスの初期段階から電磁ノイズを考慮した回路設計論の構築に必要不可欠な、高電圧パワーコンバータにおける電磁ノイズ発生・伝搬メカニズムのモデル化を行うことを目的としている。当該年度は、従来のSiパワー半導体デバイスとSiCに代表される次世代パワー半導体デバイスの特性差異に着目した。カーブトレーサや半導体パラメータアナライザを用いてMOSFET、IGBT等のパワー半導体デバイスの静特性および端子間容量の電圧依存性評価を行った。これに基づき、基本構成や動作が簡単な昇圧チョッパ等を例に、DC-DCコンバータの連続導通動作条件において生じる電磁ノイズの発生メカニズムを明らかにした。動作電圧・電流、環境温度、スイッチング速度や周波数など種々の条件をパラメータとして動作させ、それらがダイオードやトランジスタのスイッチング特性に与える影響の評価、ノイズ発生源のモデル化、およびその妥当性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、従来のSiパワー半導体デバイスとSiC、GaNに代表される次世代パワー半導体デバイスの特性差異に着目した。カーブトレーサや半導体パラメータアナライザを用いてMOSFET、IGBT等のパワー半導体デバイスの静特性および端子間容量の電圧依存性評価を行った。これに基づき、基本構成や動作が簡単な昇圧チョッパ等を例に、DC-DCコンバータの連続導通動作条件において生じる電磁ノイズの発生メカニズムを明らかにした。動作電圧・電流、環境温度、スイッチング速度や周波数など種々の条件をパラメータとして動作させ、それらがダイオードやトランジスタのスイッチング特性に与える影響の評価、ノイズ発生源のモデル化、およびその妥当性を検証した。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の検討に基づき、電力変換動作時に回路から生じる電磁ノイズを時間・周波数など複数軸上において実測・定量評価を行い、構築したノイズ発生源モデルの妥当性検証を行う。さらに、回路構成や実装条件をパラメータとして電磁ノイズの伝搬メカニズムについて検討する。具体的には、導体間の寄生キャパシタンスや自己・相互インダクタンスを抽出する部分要素等価回路法に基づき、配線間の電磁結合を等価回路モデルによって表現する。特に、回路基板上の配線に存在する微小な寄生インダクタンスについては、電磁界解析だけでなくSパラメータを用いたインピーダンスの実測評価をあわせて行い、両者の同定結果の比較によって、検討の妥当性について検証する。これにより、スイッチング動作において配線構造や空間配置が及ぼす影響を電磁気的な観点でとらえ、ノイズ伝搬に与える影響の評価へと展開させる。具体的には、磁界プローブを用いた近傍磁界の評価により、ノイズ電流の発生源及び伝搬経路の可視化を行うことで、配線構造や素子の空間配置がノイズ伝搬に及ぼす影響の評価を行う。 得られた研究成果の内容を有識者との議論を通してより一層高めるため、国内研究会・国際学会発表を積極的に行う。また得られた結果をとりまとめ、学術論文の執筆を計画している。
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