研究課題/領域番号 |
15H06361
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松垣 あいら 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10592529)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 骨配向性 / 骨芽細胞 / 細胞間相互作用 / アパタイト |
研究実績の概要 |
骨における複雑な細胞間ネットワークに着目し、骨配向化を決定する骨芽細胞配列化が骨系細胞間のクロストークにより、いかに制御されるのか、分子レベルからそのメカニズム解明に取り組んでいる。 骨配向化の生物学的分子メカニズム解明のために、本申請では材料工学と細胞生物学との融合的視点・手法により、細胞間相互作用を考慮した新たなアプローチに挑戦している。特に、骨芽細胞と破骨細胞、オステオサイトの相互作用に着目し、骨形成、骨吸収、応力感受という古典的役割のみならず、情報伝達を介した遺伝子レベルでの骨配向化機構解明を目指し、材料としての組織から分子まで、各階層における異方性発現の根本的メカニズム解明を目指している。 今年度(平成27年度)は骨配向性異常を示す遺伝子組換えマウスについて、骨組織レベルでの解析から基質配向性異常の定量的・定性的解析を完了した。さらに細胞間相互作用を再現可能な生体内類似環境下における共培養モデルを構築、来年度の遺伝子レベルからの研究遂行に必須な実験モデル確立に成功した。 具体的には、微小領域X線回折法によるアパタイト結晶配向性の定量解析や、レーザーラマン顕微鏡によるコラーゲン配向性解析、さらには各種組織染色(HE、TRAP、免疫染色)による細胞生物学的解析を駆使することで、特定の遺伝子欠損が顕著な骨配向性低下をもたらすことを見出した。得られた知見を基に、生体外において、可溶性因子や直接結合を介した細胞間クロストークを解析可能な共培養モデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」に記述のとおり、今年度(平成27年度)に計画していた以下の項目は、計画を前倒ししつつ遂行した。以下に、項目ごとの進展度を示す。なお、記号の意味は、◎:当初の計画以上に進展、○:計画通り進展、とする。
①遺伝子組換えマウスの骨配向性解析(◎)、②細胞形態とアパタイト配向性との定量的相関性解析(◎)、③骨系細胞間相互作用に基づく細胞配列化制御機構の有無(○)
以上より、総合的に「当初の計画以上に進展している(◎)」と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(平成27年度)に当初の計画を上回り研究が進展し、組織・細胞レベルにおいて骨配向化を制御する候補因子の同定に成功した。次年度(平成28年度)は、前年度の成果を踏まえ、骨系細胞間における分子レベルでの相互作用に着目しつつ、遺伝子レベルから骨配向化メカニズム解明を目指す。 具体的には、ターゲット分子探索のためにマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行う。骨配向性制御因子として見出された候補遺伝子について、アゴニスト・アンタゴニストの添加や受容体阻害、さらにはリガンド・受容体の遺伝子レベルでの過剰発現・発現抑制により骨配向性制御機構を解明する。
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