データベース構築:計画2年目の平成28年度は、前年度に引き続き、牛舎に設置したRGB-Dカメラを用いた計測を継続した。前年度とあわせ2年間の計測により、同一個体の継続的な観測によるデータ解析を可能とする、世界的にも類を見ないデータセットを構築した。 個体識別:本研究で収集した多数の牛歩行映像を用い、前年度に構築された個体識別手法を改善した。具体的には、乳牛の歩行シルエット特徴と斑紋特徴の併用手法をより深化し、昼夜・斑紋の有無を問わず2つの特徴を統合し個体を識別する手法を構築した。本研究に関連して、平成28年度は1つの国内会議および1つの国際会議で発表するとともに、論文誌への投稿を予定している。 軽度蹄病検出手法の開発:本研究で構築されたデータセットに基づき、蹄病を軽症時でも検出できる手法を開発した。提案手法は乳牛の歩行時の三次元形状特徴を用い、機械学習のアプローチにより蹄病(軽度を含む)個体および健康個体の分離を行う。本研究で構築されたデータセットを用いた実験により、蹄病を99%以上の精度で検出可能であることを確認した。前年度に開発したロコモーションスコア推定による手法と比較して、大幅な精度向上がみられる。本研究に関連して、2件の国内会議発表を行うとともに、論文誌への投稿を予定している。 健康状態スコア推定手法の開発:上記のロコモーションスコアともに代表的な健康状態スコアであるルーメンフィルスコアおよびボディコンディションスコアの推定手法を開発した。これら3つのスコアは、乳牛の歩行時・静止時の3次元形状に基づき算出される。本研究の成果に関して、実用化を見据え特許出願(国内出願およびPCT出願)を行った。
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