研究課題
[背景と目的]オートファジーは動的な過程であり、そのターンオーバー速度をフラックスと呼ぶ。オートファゴソームが多数観察された場合、オートファジーの「停滞」を意味するのか、「亢進」を意味するかは不明である。in vitroでは細胞にオートファジー阻害剤を添加してLC3Ⅱ(オートファゴソームに一致する)の蓄積を評価することによりフラックスを推定することは可能であるがin vivoでは一般的でない。本研究では(1)in vivoでのオートファジーフラックスを評価する方法を確立する。(2)オートファジー阻害因子Rubiconをノックアウトすることで「オートファジー亢進マウス」を作成し、種々の腎疾患ストレスに抵抗性であることを証明する。(3)オートファジー活性化薬を臨床応用する試みの前段階として、①エベロリムス(一般的にはオートファジー活性薬として認知されている)を投与した腎移植患者の腎生検組織の評価を行う、②オートファジー活性化薬を探索し、腎疾患モデルマウスへの投与効果を検証することを目的とした。[結果](1)GFP-LC3マウスにリソソーム機能阻害剤クロロキンを投与し、腎尿細管のGFP陽性ドット数をクロロキン投与をしない場合とで比較すること、およびタモキシフェン誘導性近位尿細管特異的オートファジー不全マウスでタモキシフェン投与2週間後に、オートファジー基質であるp62陽性タンパク凝集塊の量を(タモキシフェン投与なしの場合と)比較することでin vivoオートファジーフラックス評価方法を確立した。老化におけるフラックスを評価し論文報告した。(2)Rubiconノックアウトマウスはオートファジーが亢進し、ある種の腎疾患ストレスに抵抗性であった。(3)①ヒト移植腎生検サンプルを用いてp62とLAMP1を染色し解析を行った。②ある種のオートファジー活性化薬に着目しその効果を確認した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Autophagy
巻: 12 ページ: 801-13
10.1080/15548627.2016.1159376. Epub 2016 Mar 17.
日本腎臓学会誌
巻: 58 ページ: 1238-1242