NMOSDにおける抗AQP4抗体の病原性は確立されているが、近年、HMGB-1やIL-1βなど自然免疫との関連性も報告されている。ミトコンドリアDNA (mtDNA) は自然免疫を活性化するDAMPs (damage-associated molecular patterns) としての働きが知られており、本研究ではmtDNAがNMOSDの病態へ関連しているか明らかにすることを目的とした。対象は抗AQP4抗体陽性のNMOSD 52症例(急性期28症例、寛解期24症例)、MS急性期 27症例、神経変性疾患など非炎症性疾患~症例とし、髄液中のmtDNAを定量的PCRにより測定した。また、AQP4強制発現HEK293細胞と、C57BL6/Jマウス新生仔から作成したアストロサイト初代培養にNMOSD患者血清、健常人血清をそれぞれ添加し、上清中mtDNAの測定をおこなった。さらに、NMOSD患者髄液から抽出したDNAをマウス混合グリア細胞に加え、サイトカイン産生を検討した。NMOSD急性期における髄液mtDNAはNMOSD寛解期、MS急性期、その他神経疾患群と比較してそれぞれ有意に上昇していた。AQP4強制発現HEK293細胞、アストロサイト培養ともにNMOSD血清群では健常人血清群と比べ、上清中mtDNAは高値であった。また、NMOSDの髄液中DNAによりIL-1β産生の亢進がみられた。NMOSD急性期では髄液mtDNAは増加し、炎症性サイトカインの産生を促進する可能性が示唆された。NMOSDにおいて、mtDNAが炎症の促進など病態に関与している可能性がある。
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