研究実績の概要 |
【研究1】子宮体癌に侵入した好中球(TAN)の腫瘍局所における機能の検討 TRLを伴う子宮体癌のマウスモデルにおけるTANの誘導の確認・高転移性の確認 マウスのTANをCD11b+Ly6G+細胞と定義。移植4週間後のG-CSF産生株由来腫瘍(TRLモデル)において、コントロール株由来腫瘍(Non-TRLモデル)に比してTANが有意に多く誘導されTRLモデルでの転移も多くみられた。TANが子宮体癌の浸潤能を誘導するか?の検討 抗Ly6G抗体ビーズを用いて、TRLモデルの子宮体癌よりTAN、非担癌マウス末梢血より正常好中球の単離を行い、それぞれ子宮体癌細胞株と共培養した。Invasion assay、Scratch assayにてTANが癌細胞の浸潤能、遊走能を亢進させることが確認された。 【研究2】転移予定臓器における好中球の機能についての検討 転移予定の臓器に、好中球が浸潤し前転移ニッチが形成され、それに向かって癌細胞が遊走するか?の検討 転移前の時期に、両モデルマウスから肝臓・肺・リンパ節・皮膚・脾臓・腫瘍を摘出し、H&E染色にて各臓器に転移が生じないことを確認し、前転移ニッチの形成(ケモカインの発現)を免疫組織染色法とReal time RT-PCRにて検証した。CCL2, CCL21, CXCL12, S100A8/9を解析対象としたところ、S100A8/9の発現が亢進していた。細胞動態解析装置を用いて癌細胞の遊走能を検討したところ、前転移ニッチに向かって、TRLモデルの子宮体癌細胞が遊走し、抗S100A8/9中和抗体により遊走能が阻害された。また、転移前の各臓器において、前転移ニッチ周辺に好中球が先行動員されていることを免疫組織染色法によって確認した。好中球阻害により子宮体癌の遠隔転移を抑制できるか?の検討 抗Ly6G抗体を用いた転移抑制の検討は現在進行中である。
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