頭頸部扁平上皮癌培養細胞株Fadu、Detroit562、BICR6、BICR18を用いて、MCT4の発現の有無をウェスタンブロッティングにより確認した。上記4細胞株のうち3細胞株(Fadu、Detroit562、BICR6)においてMCT4の発現が確認できた。またsiRNAを用いることによってMCT4の発現がノックダウンできることをウェスタンブロッティングにより確認した。 続いてFaduにおけるMCT4ノックダウンによる細胞増殖能への影響を検討した。MCT4ノックダウンにより細胞増殖能が低下することをMTTアッセイにより確認した。MCT4ノックダウンにより乳酸の細胞外への排出が低下すると考えられたが、細胞内の乳酸濃度はコントロールと比し有意差を認めなかった。細胞外の乳酸濃度はノックダウン群で有意に低下していた。 正常酸素下と低酸素下での細胞増殖の違いについて検討を行った。Faduにおいて低酸素下で有意な細胞増殖能の増大を認めた。MCT4をノックダウンして比較した結果、低酸素下で認めた細胞増殖能の増大は認めなかった。これは低酸素環境下で増大する細胞増殖能をMCT4ノックダウンにより抑制できることを示唆していると考えられる。 放射線感受性についても検討を行った。放射線照射にMCT4ノックダウンを併用すると放射線単独の場合と比べ有意な細胞生存率の低下が認められると考えられたが、放射線照射のみで死滅してしまう細胞が多く十分な評価ができないため、今後は詳細な条件設定が必要と考えられた。
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