研究課題
1)データの収集:すでに平成20~24年に国立循環器病研究センター予防健診部において歯科検診を受診した吹田研究基本健診参加者(約1900名のうち、頸部エコー被験者は約1500名)の中で初回歯科検診から4年以上経過し、文書により同意を得た者に対して研究期間中に再評価を行った。平成27年度内の歯科検診再評価者は、目標400名に対し297名であった。初回歯科検診は目標100名に対し、41名であった。2)横断解析:唾液中炎症性バイオマーカーとIMTとの間に有意な関連は認められ、今後の縦断解析の基礎資料は得られた。3)歯周病菌と循環器疾患との関連についての横断解析:ベースライン時の歯科検診に参加した353名の唾液サンプルを解析し、唾液中の歯周病関連細菌と脂質異常との間に有意な関連が認められ、歯周病と循環器疾患との関連を裏付ける基礎資料が得られた。4)プレ縦断解析:ベースライン時ならびに再評価時(ベースラインより4年以上経過)の歯科検診にいずれも参加した783名の歯科データより、歯周状態の悪化が、動脈硬化性疾患のリスク因子である咀嚼能率の低下に影響を及ぼすことが明らかとなった。
3: やや遅れている
データの収集においては、再評価者、初回歯科検診者ともに目標は達しなかった。解析については、横断解析では、今後縦断解析の基礎資料となる結果が明らかとなり、また唾液中の歯周病関連菌と循環器疾患との関連が明らかとなることで、歯周病と循環器疾患との関連を裏付けるエビデンスが得られたと考えられる。またプレ縦断解析では、歯科のみのデータより、歯周状態の悪化が咀嚼能率の低下に影響を及ぼすことが明らかとなった。
前年度より引き続いてデータ収集を行う。歯科検診再評価者は300名を目標とし、累積して1300名を目標とする。初回歯科検診は前年度41名であったことより、50名を目標とし、累積して2300名を目処にベースライン調査者数の増加をはかる。また、ベースライン評価からの追跡期間は最長でも6年と短く、外注検査費用が高額なためサンプル数も十分ではないが、前向きコホート研究のプレ解析として、これまで横断解析で頸動脈硬化との関連が認められている唾液中炎症性バイオマーカーのベースラインデータおよび追跡期間中の変化が、再評価時における動脈硬化性疾患リスク因子ならびに発症に及ぼす影響について、縦断解析(年齢、性別、既往歴、生活習慣を調整した多変量解析)を行い、今後の前向きコホート研究の基礎資料を得ることを目標とする。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Clinical and Experimental Dental Research
巻: 1 ページ: 57-62
10.1002/cre2.10