研究実績の概要 |
本研究課題は、小学校において、学習に取り組むことができない、教師の指示に従えないなどの行動上の困難のある児童のいる学級で、問題行動を最小限に留めながら、児童が学習や学級での活動によりよく参加できるようにするための、能動的な学級経営の方法を提案することを目的としている。 初年度である平成27年度は、まず研究1の文献研究として、国内外の学級経営や問題行動への対応に関する文献を集め、整理した。そのなかから、実証的に効果があるとされている教師行動、学級経営の手法についてまとめた。また、Errorless Classroom Management (ECM: Ducharme, 2007) について主要文献の邦訳を行ったうえで、その特徴をわかりやすくまとめ、他の行動的介入との概念的な異同を考察している。 研究2の基礎研究としては、協力校探しを行い、1校にて観察研究を開始した。おもに授業中の教師の指示や声かけについて観察を行っている。引き続き観察を行ってデータを増やし、授業で用いられやすい指示のリストを作成する予定である。さらに、授業中に用いられる声かけを、反応的なもの(例えば賞賛、注意、報酬、罰、無視など)と能動的なもの(例えばプライミング、促し、選択肢を与える、ラポール形成など)などにカテゴリー分けし、どのような声かけが用いられやすいかを明らかにする。教師の働きかけに対する児童の反応については、今後研究協力校の許可を得て観察を行う予定である。 また、研究3の実践研究の予備段階として、文献研究から得られた知見とECMを元に、教師トレーニンング用教材を作成中である。
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