本年度は、主に以下の研究成果を成し遂げた。 (1)清代外モンゴルのツェツェン・ハン部とトシェート・ハン部が接する盟界の画定経緯の解明に取り組んだ。その結果、乾隆55(1790)年にラワーンドルジらの在地モンゴル人王公によって東部2盟間の牧地境界が初めて画定され、両盟間の牧地紛争が終息できたことが明らかとなった。 (2)牧地境界画定から見た遊牧民の遊牧実態の解明といった課題の一端として、清代外モンゴルにおけるイフシャビ(外モンゴルの最高活仏の隷属民)の遊牧状況を検討した。その結果、旗の一般平民と同様に、イフシャビの遊牧も基本的に特定の旗の枠内に制限されたことが明らかとなった。
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