運動における協調性は、就学前後で発見されることの多い発達障害の子どもにおいて多く観察されている。これらの発達障害を念頭においた集団健診に運動協調性の評価が含まれているものの、その評価方法には測定誤差が大きく再現性に課題がある。近年、注目されている小型の加速度計を用いて立位や歩行といった単純な運動課題により運動協調性が評価できれば、集団健診において信頼性の高いスクリーニングへの応用が期待される。 本年度は、昨年度から引き続いて粗大運動の発達と既存の協調運動尺度との関連を検討するために、6歳から17歳の26名と成人を対象に10mの平地歩行の運動課題を行った。歩行中の足部、頭部および体幹並進加速度を小型無線加速度計にて同時計測し、足部加速度から歩行周期を同定した。協調運動尺度としてMovement Assessment Battery for Children (以下、Movement ABC)を用いて上肢、バランス、ボール操作の運動課題を行った。年齢別の課題から協調運動に関する標準得点を算出した。歩行時の体幹加速度からは平均振幅および頭部・体幹加速度の相関指標を算出した。歩行時の加速度は小児は成人と比べて運動時の左右および上下方向の並進加速度が大きかった。同加速度は年齢とともに減少し、動作の安定性が向上することが示唆された。Movement ABCのスコアは、年齢による単調な変化パターンは見られなかった。
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