研究課題
本研究では直鎖型四座ホスフィン meso-bis[(diphenylphosphinomethyl)phenylphosphino]-methane (dpmppm) で構造規制した直鎖状パラジウム8核錯体 [Pd8(dpmppm)4](BF4)4 の両末端が配位不飽和である特徴を活かし,2分子の金属鎖末端間を金属―金属結合で還元的カップリングさせてPd16核長鎖を有する分子性クラスターの創製を第一の目的に設定した。dpmppmには中央の2つのP上に不斉点が存在し、絶対配置が異なるメソ体が有機合成の過程で優先的に得られる。メソ体の熱異性化からラセミ体を単離し、ラセミ体を用いてPd8核錯体を合成したところ、メソ体の場合と異なり結晶状態で隣り合う2分子が非常に近い位置で直線的に並び、さらに、金属鎖に沿って配向する外側のP上のフェニル基が容易に隣分子と相互作用してPd8核鎖のカップリングを促進するものと考えられた。酸化還元挙動を調べたところ,ラセミ体を用いたPd8核鎖のほうが若干還元されやすい性質をもつことがわかり,2分子をカップリングさせるには良好であると思われたが,現在のところ8核以上の錯体は得られていない。Pd8 核錯体は適正クラスター価電子数から2電子不足し電子が非局在化することから酸化還元活性である。そこで、ビスイソシアニドで連結したPd8核錯体とプロトン伝導を示すポリマーのナフィオンを混合した修飾用エタノール分散液を作製してグラッシーカーボンに塗布し,Pd8核鎖を電極上に固定化することを試みた。-1.8 - +0.8 の範囲で電位の掃引を繰り返したところ,Pd8核鎖に由来するE1/2 = -1.21 Vに一定の酸化還元波を示す化学修飾電極が作製できた。さらに,このCME を用いてプロトンによる電気化学的還元反応についての検討を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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