研究課題
本研究の対象としているCaF2、Al2O3、MgOおよびLiFのセラミックをSPSにより作製し、一部その透明化に成功した。一方、SPS合成の感覚を掴むための練習として様々な組成のセラミック材料を作製し、その放射線応答も同時に評価した。特に派生材料ではCsBr:Sm結晶中でRPLが認められ、その応答はおよそ1mGy-10Gyの間で確認された。一方で、検出材料としての再利用性には優れておらず、今後の改善が求められる。さらに、SiO2ガラス焼結体、AlNセラミックスおよびZBLANガラス中でもRPLの確認を行ったが、その特性は得られなかった。しかしながら、これら材料中において放射線による応答(シンチレーション、熱蛍光および輝尽蛍光)が確認され、その特性評価も同時に行った。中でも、無添加およびCe添加SiO2ガラス焼結体においては非常に感度の高い熱蛍光が認められ、1mGyより十分なS/Nでの検出が行える事がわかった。一方、AlNにおいては非常に感度の高い輝尽蛍光が確認され、同じく1mGyの低線量計測が可能である。Sm添加ZBLAN結晶化ガラス中においては、強度の高いSm2+のd-f遷移によるブロードな長波長(~700nm)でのシンチレーション発光が認められた。この発光はSi系検出器とのスペクトルマッチング性が高く、フラットパネル型X線撮像素子への応用が期待される。
2: おおむね順調に進展している
CaF2、Al2O3およびMgOにおいてはセラミックの透明化に成功した。Sm添加およびそのRPL評価については今後の課題となる。派生的に作製したサンプルのうち、世界的にも非常に稀で報告例も非常に少ないラジオルミネッセンス現象がCsBr:Smにおいて発現する事が認められた。さらに練習で作製したSiO2ガラス焼結体やAlNセラミックにおいても放射線誘起輝尽蛍光や熱蛍光がみられ、放射線計測応用への可能性について検討した。
現状で透明化しているCaF2、Al2O3、MgOセラミックスについては、今後Smを添加する事によりそのラジオフォトルミネッセンスの発現の有無を評価したい。さらに、LiFについては継続してセラミックスの透明化を目指し、他材料同様にRPLの検証を行いたい。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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