研究課題/領域番号 |
15H06411
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
笹井 紀明 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (80391960)
|
研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
キーワード | ソニック・ヘッジホッグ / 神経管 / パターン形成 / 底板細胞 / 介在神経 / コンピテンス |
研究実績の概要 |
神経分化における神経前駆細胞のパターン形成と運命決定のメカニズムを探るため、エレクトロポレーションによる強制発現とsiRNAによる機能喪失実験を行った。これまでの予備的解析から、神経管のパターン形成因子であるソニック・ヘッジホッグ(sonic hedgehog; Shh)の下流で働く転写因子や仲介因子が多数単離されていたが、平成27年度は、これらのうち、それらの発現パターンをin situハイブリダイゼーションにより網羅的に解析し、発現が興味深くかつ機能未知のものを多数単離した。現在、そのうちの3種類について解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経分化に関与する分泌因子の1つであるソニック・ヘッジホッグ(Sonic Hedgehog; Shh)のターゲット遺伝子のうち、神経管に発現するものをin situハイブリダイゼーションによって多数単離し、ニワトリ胚における電気穿孔法により活性を解析したところ、神経管の背腹軸のパターン形成に影響が見られるものが見いだされた。現在、これらの遺伝子の機能を主に機能喪失実験によって確かめている。 また、マウス胚性幹細胞(ES細胞)の神経分化の実験系において、レチノイン酸とShhを組み合わせることにより、脊髄レベルの神経前駆細胞の各サブタイプを選択的に分化させる技術を確立した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、現在単離されているパターン形成因子の解析を、主に機能喪失実験を用いて明らかにする。また、各因子同士のエピスタティックな上下関係を明らかにするほか、Shhの仲介因子として働く転写因子Gliの活性状態の経時的な変化を、神経組織片を用いて明らかにする。さらに、マウスES細胞の神経分化系でも同じメカニズムが働いているかを調べ、神経分化の分子機構が種を超えて保存されているかを検討する。
|