研究課題
本年度は、①病理標本におけるZCCHC10とPITX1の発現動態解析と②PITX1のノックアウトに向けた実験を行った。①については、PITX1はメラノーマにおいて正常細胞と比べて発現が低下していることを確認していたので、本実験ではZCCHC10の発現動態解析を細胞株および組織標本を用いて行った。その結果、正常メラノサイトと比較して、解析した6つ全てのメラノーマ細胞株(A2058、SKMEL28、G361、HMV1、CRL1579、GAK)においてZCCHC10のタンパクレベルでの発現低下が認められた。加えて、病理標本を用いたヒトメラノーマ組織におけるZCCHC10の発現についてもリアルタイムRT-PCR(qRT-PCR)によって検討を行った結果、12検体中11検体でZCCHC10 mRNAの発現低下が認められた。一方、転移の有無や予後との相関性について種々の臨床病理学的因子について検討を行ったが、検体数が少なく、今回はPITX1およびZCCHC10の発現低下との有意な関連性を見出すことは叶わなかった。現在、検体数を増やして再度解析を進めている。②については、当初予定していた、CRISPER/Cas9を用いたKOおよびsiRNAでのKDの実験が予定通りに進まなかったため、Pitx1のKOマウスは胎生致死となるためコンディショナルKOマウスの作製を行った。具体的にはCRISPR/Cas9システムを用いてマウスES細胞への効率的なPitx1のエキソン領域へのloxP遺伝子変異導入を行った。その結果、87個の薬剤耐性ESクローンの内5クローンでPitx1領域へのloxPサイトの挿入を確認した。現在は、キメラマウスの作製を行っており、今後は両アレルにloxP変異をもつPitx1 CKOマウスを作製し、Pitx1の機能不全下におけるtert発現への影響を解析したいと考えている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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