1次元河川や河川網(連結グラフ)に生じる魚群回遊を記述する,制御理論に依拠する新たな数理モデルを構築した.また,モデルが支配する回遊様式の導出が,ハミルトン・ヤコビ・ベルマン(HJB)方程式という微分方程式の求解に帰着されることを示し,その具体的な厳密解を得るとともに実際的意味を論じた.さらに,上記の厳密解が確かに粘性解(すなわち真っ当な一般解)であることを示した.HJB方程式の数値計算手法も開発している.加えて,河川におけるアユのマクロなダイナミクス,すなわち個体群動態を記述できる理論を構築し,不確実な環境下で持続可能な内水面漁業を営み続けるためにはどのような水産資源管理が有効かを検討した.
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