研究課題/領域番号 |
15H06419
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
相澤 清香 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (90754375)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 下垂体 / 隆起部 / ニューロメジンU / メラトニン |
研究実績の概要 |
本研究は、下垂体隆起部で産生されるニューロメジンU(NMU)の発現制御メカニズムを解明することを目的としている。これまでの応募者の研究において、隆起部NMU発現レベルは、明期に高く、暗期に低くなる日内リズムがみられることを示してきた。平成27年度の成果は以下の通りである。(1)ラットへ明期にメラトニンを投与すると、隆起部NMU発現が低下する結果が得られた。メラトニンは通常生理状態下では暗期に分泌されるホルモンである。このことから、暗期に分泌されるメラトニンが、NMU発現を抑制的に制御していることが示唆された。(2)本研究費においてマイクロスライサーを購入し、脳スライスの作成が可能となった。それ故、隆起部を含む脳スライスを作成しスライス培養法を用いてメラトニンの作用を検討した。メラトニンの2時間の作用で隆起部NMU発現の抑制効果がみられた。このことから、メラトニンは隆起部NMU発現を直接的に制御していることが示唆された。今後は濃度や作用時間の詳細な検討、さらにはアンタゴニストの影響を検討する予定である。(3)またNMU発現制御に関する新たな因子を探索していただが、アデノシン受容体アゴニストの作用によりNMU発現が促進する傾向がみられた。今後は、アデノシン受容体を介した制御メカニズムの解明も進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivo実験系だけでなく、in vitroとして脳スライスを用いた実験においてメラトニンによる隆起部NMUの抑制作用を確認できた。そのためメラトニンは直接的に隆起部NMUを抑制していることを明らかにすることができた。さらに、隆起部NMU発現制御因子の候補として新たにアデノシンを同定できたため、今後の研究の発展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、脳スライス培養法を用いて隆起部NMUの制御因子の候補を探索したが、その結果として、アデノシン受容体A2bのアゴニストNECAを作用させることでNMU発現が増加する傾向が見られた。今後は、NECAの濃度、投与時間を詳細に検討し、アデノシンによる隆起部NMU発現制御を詳細に検討する。さらに、これまでに明らかにしたメラトニンによる抑制的な制御機構との関連を検討する。アデノシンとメラトニンの共投与や、メラトニンによる前処理後にアデノシンを作用させるなどして両者による隆起部NMUの発現制御を検討する。
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