PM2.5は様々な組成からなり、その組成の違いによる健康への影響についてはあまり検討されていない。本研究では、地域や時期によるPM2.5組成の変化がどのような影響を及ぼすかを検討した。 岡山と東京においてPM2.5の捕集を行い、成分分析を行った。同時期のPM2.5を比較したとき、東京で金属成分が多く含まれていた。マウスに曝露したところ、岡山のPM2.5よりも東京のPM2.5で強いアレルギー性気道炎症の発症が認められた。 ヒト気道上皮由来細胞においてPM2.5を曝露し、地域、時期における細胞の遺伝子変化、傷害性について比較を行った。 採取したPM2.5のうち、一地点から得られたものを濃度を変えて細胞に曝露を行ったところ、濃度依存的に細胞傷害性の増加、アレルギー関連遺伝子の増加が認められた。次に、同じ時期の東京、異なる時期の岡山のPM2.5を濃度一定条件下で曝露を行った。その結果、それぞれの地点・時期において有意差は認められなかった。BALB/cマウスを用いた喘息モデルの検討では、未曝露群と比較して気管支肺胞洗浄液中の炎症性細胞数の増加が認められたが、気道過敏性試験および遺伝子発現においては顕著な違いはなかった。投与量を増やすことで喘息発症モデルを作製できる可能性があり、現在検討中である。
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