研究課題
本研究の予備実験、前年度である平成27年度の研究実績として、p53阻害薬であるPifithrin-α存在下で胎生野生型マウスの前肢および下顎骨の器官培養を行った。その結果Pifithrin-α作用群では組織の形態形成に異常が見られた。次に、器官培養後の組織を用いて分子レベルでの解析を行った結果、Pifithrin-α添加群ではp53細胞死経路の活性化が優位に抑制されることが分かった。さらに、BMPシグナリングとp53細胞死経路の関係を調べるため、神経堤細胞特異的にBMPシグナリングを亢進させたコンディショナルノックインマウス(caBmpr1a:P0-Cre mouse)歯胚、および、同腹子コントロールマウス歯胚のパラフィン切片を作成し、免疫染色法を用いてp53細胞死経路の活性に関わる分子の産生量を両者で比較結果、発生中のcaBmpr1a:P0-Cre mouseマウス歯胚において、p53細胞死経路に関わるタンパクの産生が亢進している傾向が見られた。しかし、我々の仮説に反して遺伝子改変マウスと対照群では下顎臼歯の形態に大きな差は認められなかった。平成28年度の研究実績として、上記の器官培養法を用いてBMPシグナリング阻害薬であるLDNを用いて、BMPシグナリングの減少が組織の形態形成に与える影響を検討した。この結果、Pifithrin-α作用群と同様にLDN添加群では、胎生マウス前肢の形態形成に異常が見られた。さらに、LDN添加群器官培養組織を用いて分子レベルでの解析を行った結果、Pifithrin-α添加時と同様に対照群と比較してp53細胞死経路の活性化が優位に抑制されることが分かった。これらのことからBMP-p53 経路を介した細胞死が肢芽の発生に重要な役割を果たすことが示唆された。現在はこれらの結果を発表するため論文の作成を行っている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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