研究課題/領域番号 |
15H06437
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
柏井 桂 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (20760747)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 脳由来神経栄養因子 / 歯周靭帯細胞 / 歯肉上皮細胞 / TrkB / p75 / 細胞増殖 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脳由来神経栄養因子(BDNF)が歯周靭帯細胞の増殖を促進する一方で、歯肉上皮細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導するという二面性に着目した非外科的歯周組織させ位置療法の開発である。
本年度では上記の歯周靭帯細胞と歯肉上皮細胞においてBDNF刺激によって生じるシグナル伝達経路を比較しながら探索した。その結果、歯周靭帯細胞に於いてはBDNFの高親和受容体で知られるTrkBが強く発現していたのに対し、低親和受容体であるp75の発現は極めて低いことを見出した。反対に、歯肉上皮細胞ではp75の発現が著しく強く、この差が歯周靭帯細胞の増殖促進、歯肉上皮細胞の増殖抑制につながっていると考えられた。 そこで、各受容体のsiRNAもしくはover expression vectorを導入して、BDNFの効果を検討したところ、歯周靭帯細胞に於ける細胞増殖促進がTrkBを介していること、歯肉上皮細胞の増殖抑制はp75を介していることが明らかとなった。
次年度以降では、各々の受容体の下流で働くシグナル伝達経路を解明するin vitro実験をすすめると同時に、ビーグル犬絹糸結紮歯周炎モデルを樹立し、BDNFの非外科的歯周組織再生効果をin vivoにて検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記した予定通りに、BDNFによる細胞増殖促進・抑制の二面的な効果がTrkBとp75の発現程度の違いによるものを見いだせたため。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、TrkBが細胞増殖促進に、p75が細胞増殖抑制に関与していることがしめされたため、今後はその下流のシグナル伝達因子を詳細に解析する。 また、BDNFの歯周組織再生効果をin vivoにて検討していく。
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