研究課題
本研究の目的は、脳由来神経栄養因子(BDNF)が歯周靭帯細胞の増殖を促進する一方で、歯肉上皮細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導するという二面性に着目した非外科的歯周組織再生療法の開発である。研究初年度に、歯周靭帯細胞の増殖はBDFNの高親和受容体TrkBが関与し、歯肉上皮細胞の増殖抑制には低親和受容体p75が関係していることを明らかにした。そこで、本年度ではそのシグナル伝達経路を、siRNAや阻害剤を用いて解析することとした。その結果、BDNF刺激によって歯周靭帯細胞ではTrkB-ERKシグナリングが活性化することを、歯肉上皮細胞ではp75-JNKシグナリングが活性化することを見出した。そして、このTrkB-ERKシグナルが歯周靭帯細胞の増殖を促進し、p75-JNKシグナルが歯肉上皮細胞の増殖を抑制することを見出した。これら一連の成果をJournal of Cellular Biochemistryに論文発表した。さらに、非外科的歯周組織再生療法開発のために、絹糸結紮ビーグル犬歯周炎モデルを樹立した。その歯周炎モデルにおいて、SRP後のBDNF注入が歯周組織再生を促進することを明らかにした。現在、その再生過程における細胞と各受容体の発現パターンを免疫染色で確認しつつ、論文投稿準備中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Cellular Biochemistry
巻: 117(7) ページ: 1543-1555
10.1002/jcb.25446.