研究課題/領域番号 |
15H06447
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岡村 永一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (30755913)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | 栄養膜幹細胞 / Bmp4 / Esrrb / CRISPR/Cas9 |
研究実績の概要 |
我々は先行研究において、マウス個体および培養細胞を用いた解析により、Bmp4遺伝子が核内受容体型転写因子Esrrbの主要な直接的標的遺伝子である可能性を見出した。Bmp4タンパク質は始原生殖細胞の運命決定に必須であることが知られている。そこで本研究では、Esrrb遺伝子が始原生殖細胞運命決定の上流因子として機能するか明らかにする。 本年度はまず、栄養膜幹細胞を材料として抗Esrrb抗体を用いたChIP-seq解析を実施した。その結果、Bmp4遺伝子上流領域にEsrrb結合領域を同定した。同領域の活性を栄養膜幹細胞を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイにより検証したところ、強いエンハンサー活性が検出された。一方、同領域からEsrrb結合モチーフを欠失させた場合には、エンハンサー活性が認められなかった。次に、CRISPR/Cas9法を用い、栄養膜幹細胞内でBmp4内在性遺伝子座上のエンハンサー領域を欠失させた。Real-time qPCR法による解析の結果、エンハンサー領域の欠失によってBmp4遺伝子の発現が顕著に低下することが明らかになった。以上の結果から本研究で同定したエンハンサー領域は、胚体外外胚葉においてBmp4遺伝子発現を制御する重要なシスエレメントである可能性が強く示唆された。さらに、同エンハンサーの機能をマウス個体内で検証するため、CRISPR/Cas9法を用いてエンハンサー領域のノックアウトマウスを樹立することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画通り、培養細胞を用いたエンハンサー領域の同定・活性の検証を実施することが出来た。また、CRISPR/Cas9法によるノックアウトマウス作製の実験系がスムーズに確立出来たため、当初の計画より早くノックアウトマウスの作製に成功した。一方、Esrrb遺伝子ノックアウトマウスの繁殖が難航し、計画していた表現形の詳細な解析を実施出来なかった。以上の結果から、全体としておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
繁殖が難航したEsrrbノックアウトマウスについては、解析個体が得られつつある。当初の研究計画に従って、Esrrbホモノックアウトマウス着床後胚内で始原生殖細胞が正常に発生するか、蛍光免疫染色法やレポーターマウスとの交配により解析する。異常が認められた場合には、培地へのBmp4添加によって表現形がレスキューされるか検証する。本年度に作製したBmp4エンハンサーノックアウトマウスについても、同様の解析を実施する。
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