本研究課題では,量子場の理論の数理的側面の分子生物学への応用に関する研究に取り組んだ.より具体的には,ファットグラフやランダム行列模型といった数理物理学で研究が進んだ手法をRNAの幾何学的構造の特徴づけに応用する研究を行った. ファットグラフは1次元の向きづけられたグラフであり,数学の諸分野や行列模型の研究などに広く用いられてきた.このグラフはRNAやタンパク質といった生体高分子の幾何的かつトポロジカルな特徴づけに役立てられる.本研究では,RNAの特徴づけに有用な"boundary length and point spectrum"を提唱し,トイモデルとしてRNA行列模型を構築した.
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