画像から得られる情報が不明確な条件では、成人の知覚は特有のバイアスを示すことが示されてきた。他者の視線方向の知覚に関しては、画像に描かれた瞳の位置情報が明確な条件と比較して、この情報が不確実な条件では視線方向が観察者を見つめる「直視」方向へと偏って知覚されることが報告されてきた。本研究では選好注視法を用いて明瞭な画像と不確実な視線顔画像における乳児の視線方向知覚を検討した。正面向きで視線方向のみが異なる顔画像を用いた実験の結果、不確実条件で視線方向が直視方向へと偏ることを示す知見は得られなかった。現在さらに、顔向きの異なる画像対を用いて不確実条件での乳児の視線知覚特性を探る検討を進めている。
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