本研究は京都学派における人間関係の哲学を探求した。京都学派の哲学者とその周辺にある思想家(例えば和辻哲郎)は、「間柄的な無の哲学」を共通していると言える。その思想は、利己的な自我を措定せず、相互に空じ、変容することによって、「関係」が成立すると考える。この哲学はコミュニタリアンな形、また、普遍的・神秘主義的な形もとる。さらに詳細に見れば、後者も個人のユニークさ(他者性)について、捉え方は様々である。 以上の哲学は西洋思想―ポストモダニズム、ポスト構造主義、教育哲学―に貢献できる。さらに、このアプローチにより、教育関係(親子、師弟、カウンセラー・クライエント)を捉えなおすこともでき、実践的である。
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