本プロジェクトでは、多様な言語環境において、英語話者がどのように定型表現を用いているのかを明らかにするために、対面・電話・メールの各メディアごとのやりとりを収録し、分析と考察をおこなった。分析の結果、コミュニケーションの形態、役割、文脈に応じて参与者は適切な定型表現を使用していることを確認し、使用される定型表現の形態的な特徴や分布を明らかにした。更に、理論的な考察のために、認知科学における「ソース・モニタリング」の知見を援用し、定型表現の理解と使用には、その表現が使用される状況の記憶が関わっていることや、構成要素の抽象化やそれにともなうソース記憶の減衰が構文との連続性を説明しうると主張した。
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