研究課題
これまでに,PVP保護Ag三角形ナノプレート調製について,照射する紫外光の波長領域,強度,照射時間などの最適化による手法を確立し,さらにキャラクタリゼーションを行った。これと平行して,研究の次段階である触媒反応への金属ナノ粒子応用についての検討のため,AgだけでなくAuについてもこれらのナノ粒子の金属酸化物上への担持固定化も行った。ここでは,より実用に適した触媒調製法として含浸法を用いた。粒子径制御の阻害要因である塩化物イオンを含まない前駆体として,アミノ酸錯体を合成し,従来から知られているチタニアだけでなく,酸性担体であるシリカ,疎水性表面の活性炭上へも触媒活性が発現する5 nm以下のナノ粒子を担持することができた。種々の官能基をもつアミノ酸錯体を合成し,XAFS, TG-DTA, TPOなどによりキャラクタリゼーションしたところ,粒子径制御には,アミノ酸のもつ官能基と担体表面特性とを最適化することが重要であることがわかった。つまり,シリカでは表面水酸基がβ-アラニン錯体のカルボキシ基と,活性炭ではヒスチジンのイミダゾールとが相互作用するために,それぞれの前駆体が適していた。このようにして調製したナノ粒子触媒のうち,チタニア担持Auナノ粒子とシリカ担持Auナノ粒子について,4-ニトロスチレンの水素化反応を行い,生成物の選択性を比較した。チタニア担持Auナノ粒子では,ニトロ基のみが水素化された4-アミノスチレンが高選択的に得られたのに対して,シリカ担持Auナノ粒子では,ビニル基のみが水素化された4-エチルニトロベンゼンの選択性が高かった。どちらの触媒でもニトロ基,ビニル基の両方が水素化された生成物は得られなかった。これらの結果から,同程度のナノ粒子を担持した場合,ナノ粒子と担体との相互作用の違いによって,水素化反応の選択性を変えられることが示された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Organometallic News
巻: 2 ページ: 40-43