研究課題
本研究では、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差を示す熱活性化遅延蛍光(TADF)分子から蛍光分子へのスピン選択的な一重項励起エネルギー移動を可能とする分子システムを創出する。そのために、デンドリマーをモチーフとした分子構造制御により、固体薄膜において、TADF分子と蛍光分子間の距離をnmオーダーで制御し、一重項励起エネルギー移動の許容と三重項励起エネルギー移動の遮断を実現する。これにより、電気励起で生成した全ての励起子を蛍光として取り出し、100%の内部量子効率を示す塗布型有機EL素子を作製する。これまで上記の機能を発現するためには、真空蒸着で形成するnmオーダーの複雑な多層構造が必要であった。塗布単膜での機能発現を狙う本研究は、有機EL素子の簡素化と高効率化を両立する新たな方法論を提案する。2016年度の研究実施計画に基づき、前年度に合成に成功した緑色蛍光分子G1と青色TADF分子の塗布混合膜を発光層に用いた有機EL素子を作製・評価した。その結果、G1の発光中心に相当する分子G0を同モル濃度用いた素子と比較して、外部量子効率の1.6倍の向上に成功した。さらに、励起子のエネルギー散逸・移動過程の速度定数から算出した理論内部量子効率と比較することで、TADF分子からG1への三重項励起エネルギー移動の抑制だけでなく、G1への電荷キャリア注入の抑制が、外部量子効率の向上に起因していると明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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