研究課題/領域番号 |
15H06472
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
朱 洪忠 九州大学, エネルギー基盤技術国際教育研究センター, 助教 (00752932)
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研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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キーワード | サスペンション付きセミサブ浮体 / 浮体動揺低減 / セミアクティブ制御 / サスペンション設計 / モデル予測制御 |
研究実績の概要 |
日本周辺の海底地形は岸から離れるにしたがって急速に水深が増すため、大規模な洋上風力発電を経済性のある形で実現のためには浮体式風車が必要になる。しかしながら、浮体の動揺により浮体式洋上風車は変動荷重を受け、その疲労寿命は動揺が大きくなるにつれ短くなる。一方、浮体動揺の主な原動力である波力は膨大なエネルギーを持っている。そこで本研究では浮体に波力発電装置を取付け、その波力発電装置の制御と風車ロータの制御との協調により浮体動揺を低減させることを目指す。H27年度は研究計画に基づき、(1)サスペンション付きセミサブ浮体の数学モデル及び線形化の検討、(2)フィードバック制御理論に基づいてサスペンションパラメータの最適設計、(3)可変ダンパを用いた浮体動揺低減のため制御則の開発、(4)模型の試作を行った。 (1)ではセミサブ浮体に働く流体力を計算し、線形システムによって近似した。線形化されたモデルの妥当性を確認した。 (2)では導いたモデルに基づき、サスペンションパラメータの設計は条件付き最適フィードバック制御問題に帰着した。粒子群最適化手法(PSO)によってグローバル最適解を求めた。数値例で設計法の有効性を確認した。 (3)では波力発電装置を可変ダンパとして模擬し、モデル予測制御手法でダンパの制御則を設計した。数値例で設計手法の有効性を検証した。 (4)では2次元の小スケール模型を作った。ただし、可動部には機構的摩擦の影響でブイとプラットフォームとの相対運動は小さくため、実験はできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
模型の数学モデルの構築、サスペンションのパラメータの設計及び制御器の設計はできるようになった。設計手法は数値例によって検証し、波力発電と浮体の動揺低減との両立の可能性を示した。模型の水槽実験は機構的な摩擦の影響で順調ではなかったが、当初予期したものであった。以上より研究は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、当初の計画に従って浮体模型及び風車模型の制作、協調制御アルゴリズムの開発、実験で提案手法有効性の検証を図っていく計画である。
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