本年度においては、二次視覚野から一次視覚野へのフィードバック結合の機能解析に必要な個々の技術開発を完成させた。 本年度の前半では、昨年度に検討をした神経細胞への遺伝子導入に関しては、TETを使用したAAVによる大きな進展があった。先行研究に更に工夫を加えることで、10mm四方以上の非常に広範囲にわたる皮質神経細胞にGCaMPを感染させることが可能になった。 本年度の後半では、前半に開発した遺伝子導入技術により一光子、二光子イメージングの実験を行った。一次視覚野および二次視覚野において、自発活動と視覚応答の両方を観察することに成功した。特に、一光子イメージングによって機能的に一次視覚野と二次視覚野を精確に同定する方法を開発した。また、一光子イメージングによってメゾスケールの機能を同定したあとに、二光子イメージングで細胞レベルでの機能解析を行うことに成功した。更に、高解像度の二光子イメージングを行うことにより樹状突起や軸索末端のカルシウム応答を観察することに成功した。これにより、本研究のターゲットである二次視覚野から一次視覚野へのフィードバック結合の機能解析を行うために必要な技術を全て開発することができた。
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