本研究では、腸管や膵臓に存在するインスリン分泌ホルモンGIPの受容体(GIPR)のmRNAがマウス味細胞にも発現していることを発見した。GIPR発現細胞の約7割は甘味受容体サブセットT1R3を共発現していた。また、米国モネル化学感覚研究所に滞在し、新たな味細胞幹細胞培養系「Taste Organoid」を学び、これを帰国後所属研究室でも立ち上げた。マウス有郭乳頭基部より採取した幹細胞をマトリゲルを含む培地で培養すると、味細胞へと分化した。この時培地中にインスリンを加えると、濃度依存的に各種味細胞マーカーmRNA量が増加したことから、インスリンが味細胞の分化/増殖に関与する可能性が示唆された。
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