研究課題
ダウン症者における看護介入の確立として循環器疾患を合併しているダウン症者において合併率が高い睡眠呼吸障害(SDB)に着目し看護師サイドでも実施可能な心イベント再発予防のための基礎的情報の確立に重点を置いて研究を遂行した。本年度は循環器疾患発症や心イベントの発生に寄与する血管内皮機能障害とSDBとの関連についてさらに調査を進めた。昨年度の慢性心不全(CHF)患者23名に加えて対照群としてCHFを合併していないSDB患者30名を評価した。さらに、昨年度解析に用いていなかった血液データや治療薬等の交絡因子を加え評価した。SDBの重症度の評価には終夜睡眠ポリグラフィーと血管内皮機能の評価として血流依存性血管拡張(Flow mediated vasodilation: FMD)検査を実施した。また、新規に開発したSDBによる低酸素血症の蓄積を反映する指標(Time Desaturation Summation Index: TDS)及び従来用いられているSDBの重症度を反映する指標とFMD値との関連を検討した。結果、両群、交絡因子で補正した後においてもTDSは有意にFMD値と関連していた。一方、従来のSDBの重症度に関連する指標(無呼吸低呼吸指数等)はFMD値と関連していなかった。また、CHF患者とCHFを合併していない患者におけるTDSとFMD値との回帰直線の傾きに有意差はなかった。以上の結果を国際学会にて発表をし、本内容を論文にまとめ国際学術雑誌に投稿中である。睡眠中の酸素飽和度をモニターし低酸素血症を評価することの重要性が示唆された。夜間も密接にベッドサイドにいる看護師の患者の睡眠状態の観察し低酸素血症に着目した評価が重要である可能性が示唆された。また、ダウン症者でも同様に睡眠中の低酸素血症に着目する介入は心イベント発生や循環器疾患の増悪予防に寄与できる可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Intellectual Disability Research
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10.1111/jir.12379