本研究の目的は、ヒト腫瘍微小転移マウスモデルを樹立し、腫瘍の転移機構の解明と、転移抑 制剤の評価系の確立に供することである。腫瘍の転移は原発巣のわずかな細胞が正常組織に移動 する微小転移から始まるが、この微小転移の機序解明は、患者の予後を向上する上で極めて重要 である。微小転移は極めて少数の細胞集団であるため、これまでマウス体内で腫瘍の微小転移を 検出することは困難であった。そこで研究代表者は鋭敏な検出感度を有する分子イメージング技術(SPECT/CT、光イメージング)を応用し、ヒト腫瘍微小転移マウスモデルを樹立し、微小転移を可視化することで評価系を構築し新規治療法の開発を目指した。 11月までに、現有 SPECT装置の解像力や感度均一性評価を行うためのマウス様模擬線源(ファントム)を手作りし、3つの核種 Ga-67、Tc-99m、I-131 に対して実験を行っている。 このように核種や放射能量、使用コリメータ、投影数などイメージデータ収集に必要な条件を様々に変えた実験を行っている。次にこれらの撮像条件の違うデータに対して再構成処理パラメータを変化させ、現有 SPECT 装置の解像力および検出感度等の総合的な性能評価を行いながら各実験プロトコルに最適なイメージング条件を検討している。現有装置でもファントムのような静態物の撮像では Tc-99mで1mm程度の高解像力を達成できることを確認した。 さらに空間分解能、放射能濃度分解能、コントラスト分解能、視野均一性等の性能を詳細に評価できるように 3Dプリンタによる独自設計のマイクロファントムを試作し、その後のSPECT評価実験の準備を行っている。
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