研究実績の概要 |
昨年ファントム実験で最適化した条件をマウスに適用した。転移モデルマウスの作製は研究代表者が樹 立した Nude-RJ-EGFP マウスに各種腫瘍細胞を皮下移植することで行った。転移能が高い細胞株としてヒト肺癌細胞株(A431, H69, A549)、リンパ腫(Raji, Jurkut, BCBL-1)、メラノーマ(Ihara, GAK, G361)、胆管癌(M213)を選んでいる。検出用イメージングプローブは当施設で使用可能であるソマトスタチン受容体またはボンベシン受容体のリガンドを用いた。ファントム実験と異なり実際のマウスでは心臓の拍動や肺の呼吸運動による臓器のブレによる解像力低下の影響も予想されるため、その影響についても検討を行った。使用する核種の放射能量、放射性プローブの標識率や安定性および親和性、他臓器集積からの影響などを考慮して核種、投与量、uptake 時間、撮像時間、コリメータ、再構成条件等のパラメー タを変えながら、SPECT イメージングの至適撮像条件を探った。 しかしながら4月14日および16日の熊本地震により、当アイソトープ施設での非密封放射性物質の使用が不可能となった。また、準備していた転移モデルマウスも再度作製し直しとなり、大幅に研究遂行が遅れた。 当大学でのイメージング実験再開は建物の改修工事を待つこととなり、年度内には見通しが立たなかったため、他大学のPET/SPECT/CTを使わせてもらうこととなった。 消耗品や試薬も再調達が必要になり、他大学への旅費も必要となったことから転移モデルマウスの作製は二種に抑えることとなった。イメージングはF-18やI-131を用い微小転移の検出を行った。また解剖により比較を行い、臓器毎の集積放射能量をガンマカウンターで計測を行い解析している。
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