本研究では、腸疾患における腸組織由来ANGPTL2の組織修復機構に基づく組織恒常性維持機構おける役割および分子メカニズムを明らかにした。デキストラン硫酸ナトリウム (DSS)を用いた大腸炎マウスモデルにおいて、Angptl2ノックアウトマウスが組織損傷修復不全により大腸炎の病態が進行した。ANGPTL2の作用メカニズムとして、腸管上皮幹細胞ニッチの一員である筋線維芽細胞から分泌されたANGPTL2はオートクリン作用でインテグリンα5β1を介しNF-κBを活性化することで、腸管上皮幹細胞を負に制御するBMPの発現を抑制し、腸管上皮幹細胞の幹細胞性を制御していることを見出した。
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