本研究は、気候変動による海洋生態系の変化を効率的に把握できる基準を策定するために、九州東岸地域(種子島、宮崎県、大分県)において潮の満ち引きの影響がある場所に生息する魚類とカニ類の種構成の緯度的な変化について岩礁と河口干潟環境で複数地点を調査した。その結果、種子島においては亜熱帯種・熱帯種の割合が他の地域に比べて高くなり、岩礁域では熱帯種の割合が北上するにつれ減少する傾向が見られた。しかし河口干潟域ではこのような変化はほとんど見られなかったことから、河口干潟域は生物相の緯度的変化の把握に適していないが、潮間帯岩礁域の動物群集に関しては、緯度的な階層構造が明確に見られることが確かめられた。
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