2013年、保険病名に加えられた機能性ディスペプシア(FD)と睡眠時ブラキシズム(SB)の疾患感受性にSerotonin transporter遺伝子のSLC6A4遺伝子多型が関与していることが報告されている。また、生活習慣や食生活指導やプロトンポンプ阻害剤(PPI)によって、睡眠時ブラキシズム(SB)の頻度が有意に減少することが報告されている。しかし、その効果に関しては大きな個人差があり、PPIの代謝に関係するCYP2C19遺伝子多型がPPIのSBに及ぼす効果に影響すると考えられた。さらに我々は、SBとFDとの間に密接な関連があることを最近見出した。そこで、SBとFDの両方に罹患している患者に対して生活習慣指導・食事療法等のFDの治療を行い、SBの改善率と遺伝子多型との関連性を明らかにし、SBのオーダーメイド医療に繋げることを目的とした。 そこで、一般集団から、情報誌への募集広告の掲載等により被検者募集し、鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会と生命倫理・遺伝子解析研究倫理委員会で承認を受けた説明・同意書を用いて説明を行い同意の得られた者中で、歯ぎしりの自覚があり、かつ自宅での簡易睡眠検査でブラキシズムが認められた者に対し、鹿児島大学睡眠実験室にて、SBの診断のための睡眠ポリグラフ検査(以下PSG検査)を行っている。PSG検査では、一般的な検査項目(眼電図、脳波、心電図、オトガイ筋筋電図、呼吸、SpO2)に加え、咬筋筋電図、喉頭部運動、食道内pH、上半身のビデオ撮影を行っている。これらにより、ブラキシズムエピソードの頻度、咬筋筋電図バーストの頻度、咬筋総活動量を解析し、研究用診断基準を満たす被験者を選出している。
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