本研究では 、食餌中の亜硝酸塩/硝酸塩(NOx)の長期の不足が代謝症候群を引き起こすという仮説をマウスにおいて検証した。この目的のために、通常食とL-アルギニン、脂質、炭水化物、蛋白質、カロリー含有量が同一の低NOx食を作製し、野生型マウスに長期投与した。 その結果、低NOx食3ヶ月投与は、内臓脂肪蓄積、高脂血症、耐糖能異常を引き起こし、18ヶ月投与は、高血圧、インスリン抵抗性、内皮機能不全を招き、22ヶ月投与は急性心筋梗塞死を含めた心血管死を誘発した。 このことから、本研究は、食餌中NOxの長期不足はマウスに代謝症候群を惹起することを見出し、外因性NO産生系の病因的役割を初めて明らかにした。
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