研究課題
2015年9月から2016年12月に分離された臨床分離株64株は全てMFLXに感受性(MIC <2mg/L)を示した。MIC50およびMIC90は0.03および0.06mg/Lであった。うち2株(3.1%)はMFLX MICが0.25mg/Lであり、明らかに他のMFLX感受性株よりも高い値を示した。この2株はどちらもGyrAのQRDR内にアミノ酸置換(Ser84Leu)を有していた。以上から、H.influenzaeのキノロン耐性率の上昇は認められていないことが確認できたが、一方で、耐性とは判断されないが、キノロン耐性獲得予備軍である低感受性株が存在していることが明らかとなった。in vitroで耐性化を誘導し、感受性低下から非感受性に至るまでのQRDRの変異部位とその頻度を段階的に検討した。臨床分離株29株中16株(55.2%)が2倍のMFLX MIC添加培地に発育を認めた。これらの変異株を継代し、最終的にMFLXのMICが2mg/L以上の培地に発育を認めた変異株は10株(34.4%)であり、これらの変異頻度は10-6~10-8と高い値であった。これらの株は現時点では、臨床現場でキノロン感受性株として存在するが、将来的にキノロン耐性を獲得するリスクのある株であると考えられた。これらのMFLXの感受性低下をもたらした株は14のSequence typeに分類された。つまりキノロン耐性を獲得するリスクのある株は、少数のクローン集団によるものではなく、ある程度の遺伝的多様性を持っていることが明らかとなった。さらに、最終的にMFLXに耐性を獲得した10株中8株はBLNARであった。キノロン耐性を獲得するリスクのある菌株はPBP3にも変異を伴っている菌株であり、将来的にキノロン-β-ラクタム系抗菌薬耐性H. influenzaeが出現・拡大する危険性を危惧する結果となった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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