北伊ロンバルディア地方のサッビオネータ公爵ヴェスパシアーノ・ゴンザーガ・コロンナはスペイン王フェリペ二世、神聖ローマ皇帝の傭兵隊長として実績を築き、優れた外交手腕、軍事建築の技能、芸術文化の庇護者として名声を馳せた人物である。本研究は16世紀後半から17世紀にかけてスペインが教皇領、ヴェネツィアなど一部地域を除くイタリア半島のヘゲモニーを握った時代、スペイン宮廷美術がイタリア諸都市国家の芸術施策、とりわけ君主像に及ぼした影響をヴェスパシアーノの君主像を取上げて検討した。その際ハプスブルク家の広域的な芸術ネットワークに留意して同時代史料読解を行い、様式、意味内容、パトロネージの特質を明かにした。
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