長期記憶過程に従うモデルから発生した観測値に欠損(欠測)がある場合のパラメータの推定問題について、ウェーブレット解析を利用した近似最尤推定量の導出とその統計的性質について研究を行った。具体的には、欠損値を含む観測系列をウェーブレット変換することで周波数帯ごとに分散の大きさが異なるホワイトノイズ系列で近似し、さらに変換の際に欠損値を含むような係数を取り除くことにより、近似最尤推定量を提案した。また、その推定量が欠損値の影響を受けていないことを示した。さらに、その統計的性質は観測した系列に欠損がない場合と同様のものになるということを示した。
|