研究実績の概要 |
本研究の目的は、がん患者の在宅緩和ケアに携わる訪問看護師の困難感と対処方法の実態を把握し、質保証を目指した、効果的ながん看護専門看護師による支援システムについて検討することである。 平成27年度に実施した全国の訪問看護ステーション約8,900施設のうち、都道府県で層化無作為抽出した2,000施設の管理者を対象とした無記名自記式質問紙調査(質問紙回収数300件(回収率15.2%)、有効回答数299件(有効回答率15.2%))を分析し、連携している医療機関数、麻薬施用者免許を有する医師との連携の有無、がん利用者数、がん看護領域の専門・認定看護師の支援の有無が訪問看護師の在宅緩和ケアに対する困難感に影響していることが明らかになった。また、がん看護領域の専門・認定看護師との同行訪問を実施している訪問看護ステーションは5.0%であった。 無記名自記式質問紙調査実施時に、インタビュー調査の参加依頼を行い、参加同意が得られたのが42名であった。平成28年8月に再度、研究参加確認を行い、最終同意が得られたのが4名であったが、がん看護専門看護師との同行訪問を実施している対象者はいなかった。インタビューのなかでがん看護専門看護師がどこにいるのか分からない、タイムリーに介入してもらえない等の要因により同行訪問が実施されていないことが示唆された。 がん看護専門看護師の支援によって在宅緩和ケアに携わる訪問看護師の困難感の軽減に繋がることが明らかとなったが、がん看護専門看護師との同行訪問が実施されない要因について明らかにすると共に、訪問看護師ががん看護専門看護師にどのような支援を希望しているのか詳細に調査していくことが今後の課題である。
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