平成28年度は、看護学生が滅菌手袋を装着する際の目の動きと思考過程について調査を行った結果を学会発表した。さらに、看護学生の調査の結果と比較をするため、看護師を対象に滅菌手袋の装着時の観察状況を客観的に示すために、眼球運動と思考過程について調査を行った。 看護学生の視線の特徴は、教科書で示してある注意ポイントを確実に観察していた。さらに、ただ視線を合わせるだけでなく「清潔領域と不潔領域の意識」や「境界域の意識」などの思考過程が示された。看護師の調査は、対象者の調査可能日程の調整が必要であったため、平成29年2月に調査を行った。分析を進めているが、看護学生が観察していた部分とほぼ同様の部分に視線を動かして観察している傾向がみられた。しかし、思考過程では看護学生とは異なり、汚染する可能性を予測した思考過程がみられていた。今後、分析を続けていく予定である。 また、眼球運動計測装置を用いて看護教育に活かすことを検討するために、他大学の研究者とともに看護技術学会で交流セッションを行った。看護教育の場面において、眼球運動計測装置の集合教育での活用方法と個人教育での活用方法について参加者とディスカッションを行った。眼球運動計測装置を用いた集合教育は、滅菌手袋の装着や無菌操作など、手順が明確に決まっている技術の際に有効であると考える。一方、個人教育の場合は患者との実際の関りながら状況が変化する中で臨床判断を必要とする場面で、考えを深めていく際に有効であると考える。 実際の患者とのかかわりの中での観察において、ヒューマンエラーにつながる見落とし現象は個人教育として、眼球運動計測装置を用いた客観的指標と思考過程を合わせた結果を示し検討し、臨床判断能力を深めていく必要があると考える。
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