認知症の症状の中でも攻撃的行動は、認知症患者自身の生活の質を低下させる一因となるばかりでなく、認知症患者のケアに携わる者をも疲弊させる。認知症患者が増加している現在の社会情勢において、攻撃的行動に関する予防的な視点や適切な対応方法を明らかにすることは急務と言える。 そのため本研究では、認知症患者の攻撃的行動に対して、認知症患者の看護経験が豊富であり熟練した技能を持つ看護師が、どのような視点で患者の観察を行っているのか、また攻撃的行動に至らないためにどのような看護ケアを行っているのか、さらに攻撃的行動に対してどのような看護ケアを行ってるのか、その看護ケアの判断の仕方を含めて明らかにすることを目的とした。 平成27年度は、研究に用いる概念の明確化及びインタビューガイドの作成のため、文献検討やプレインタビューを行った。また、平成28年度に実施予定のインタビュー調査に向け、研究対象者とする認知症看護認定看護師のリクルートを行った。研究対象者のリクルートは雪だるま式選出法により実施し、まず認知症患者の看護に関する研究に精通した研究者より2名の認知症看護認定看護師の紹介を受けた後、その認知症看護認定看護師から別の認知症看護認定看護師の紹介を受け、研究協力の依頼を行った。平成27年度中にそのうちの1名のインタビュー調査を実施し、3名の方にインタビュー調査の内諾を得ることができている。
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