高齢者のうつ症状は死亡率を増加させるため、予防や早期発見が重要である。うつ症状である抑うつ気分、無気力、睡眠障害は短期間で症状が改善したり悪化するなど経過時的に変化する特徴がある。そのため、本研究は、うつ症状と食品および栄養素の摂取状況を3ヶ月に1回の複数回にわたって評価し、うつ症状の経時的な変化を明らかにした上で、うつ症状の悪化や改善などの経時的変化を予測する食品および栄養素を明らかにする目的で行った。 本研究は三重県立看護大学の倫理委員会の承認を受けて、平成28年2月から平成29年2月の期間に調査を実施した。通所介護施設および訪問看護を利用する高齢者を対象に質問紙調査を計5回実施した。調査項目は、うつ症状として、抑うつ気分、無気力、睡眠障害を評価し、簡易型自己式食事歴法質問票を用いて食品および栄養素の摂取状況を評価した。 5回の調査において、約100~150人の高齢者が参加された。その結果、参加者の約半数がうつ症状を呈していることが明らかとなった。また、1回目の調査を分析したところ、無気力と乳製品摂取の間に関連が認められた。この結果より、乳製品を摂取するほど無気力症状が改善する可能性が示唆された。 今後は、無気力以外のうつ症状である抑うつ気分や睡眠障害などについても関連のある食品および栄養素を探索するとともに、うつ症状の経時的変化についても明らかにしていくため分析を行っていく方向である。
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