研究課題
浸潤・転移能を獲得した癌細胞、小児がんや希少癌など、有効な治療法が確立されていない癌種に対する治療法の開発には、癌細胞の生物学的多様性を考慮したアプローチが重要であると考えられる。その一つの方向性として、癌細胞死誘導機構に着目した薬剤併用療法の開発が推進されている。この様な背景のもと本研究課題では、オートファジーとアポトーシスのクロストーク機構に焦点を当てて、薬剤併用の在り方を探索することを目的としてきた。我々の研究室では伝統的に、げっ歯類を用いた化学発がんモデルの開発と、それらin vivoアッセイ系を応用した天然化合物の抗がん効果、あるいは毒性と発がん性を評価する生体試験を数多く実施してきた。そこで今回、我々が着想した独自の方法論として、ラット由来腎癌細胞と、その肺高転移株を比較するin vitro培養系の実験を計画した。本研究で用いた主な細胞としては、不死化された非腫瘍性のラット正常尿路上皮細胞であるMYP3細胞株、化学物質誘発ラット腎細胞癌から樹立した腫瘍親株、その親株を別のラット腎臓に同種移植し肺転移を来した転移細胞を、再び同種腎移植することを数回繰り返して樹立された肺高転移株2種類(クローン#3、#7)などである。実験に用いた化合物としては、クロロキン、ビンブラスチン、ラパマイシンなどと、各種阻害剤(Z-VAD、Necrostatin-1)とを組み合わせて投与した。結果の詳細については最終報告書に記述する。ただし、本研究代表者が諸事情により大学を退職したために、当初予定していた結果を得る以前に、本研究が終了したことが残念である。しかしながらこの種の研究テーマは、今後とも世界中の多くの探求心ある研究者らにとって魅力的な、そして発展性のある課題であろうと感じている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)
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