本研究の目的は、中山間地域の訪問看護ステーション(以下、訪看ST)の情報を一元化したWebサイトを活用して、訪看ST間の情報共有と連携促進を可能にするICTネットワークシステムを構築し、中山間地域の課題解決に向けた基礎資料を提示することである。平成28年度は、地域住民やケアマネジャーを対象にWebサイト閲覧後のアンケート調査を実施した。その結果、「訪問看護の分かりやすさ」については、概ね良好な評価を得ることができた。しかし、訪問看護の実践内容については文字だけでは伝わりづらいことも分かったため、訪問看護を実践中の写真を各訪看STで準備したり、看護をより身近なものとしてもらうために地域独自の方言などを取り入れる工夫をした。さらに、高齢の地域住民にとっては、Webサイトツールの活用は困難であるという意見も多くあったため、Webサイト内容を活かしたパンフレットの作成も行った。 Webサイト及びパンフレット作成後に訪問看護師へ実施した調査では、大半の看護師が地域内の訪看ST同士が連携を促進することを求めており、本研究におけるWebサイト作成の取り組みは訪看ST同士の連携を活かした取り組みと考えていることが分かった。このことは、地域の訪看ST同士が競合するのではなく協調していく体制になりつつあることを示している。ただし、Webサイトを活かしたICTネットワークシステムの活用に際しては、担当する訪看ST管理者自身が多忙な業務の傍らでは困難であることも課題として明確になった。今後は、多忙な訪看STスタッフでも継続活用できるネットワークシステムへの改良が必要である。さらに、今回の研究では、主な参画者が訪看ST管理者であったため、看護スタッフも参画できる取り組みの工夫も必要である。
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