研究課題/領域番号 |
15H06555
|
研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
田之頭 恵里 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90758905)
|
研究期間 (年度) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
キーワード | 生体肝移植 / レジリエンス / 思春期 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、思春期に生体肝移植を受けた子どものレジリエンスを高める看護実践ガイドラインを開発することである。 平成27年度の研究計画は、質的因子探索型研究法により、思春期に生体肝移植を受けた子どものレジリエンスの構造を明らかにすること、および質的因子探索型研究によって明らかになったレジリエンスの構造を踏まえ、レジリエンスのプロセスで発揮される子どもの力に沿った『支援が必要な状況』を抽出することであった。 データ収集のためのインタビュー調査を実施するにあたり、半構成的インタビューガイドを作成し、プレテストを重ねて洗練化を図った。その後、所属大学の研究倫理審査委員会の承認を得る手続きを行い、承認を得た。データ収集については、現在フィールドへのアクセスのための手続きを行っている。また、思春期に生体肝移植を受けた子どもの理解を深めるために、海外の文献を中心に文献検討を行った。そして、思春期に生体肝移植を受けた子どものレジリエンスを高めるために、心理・社会的な支援や家族への支援も含めたトータルケアが必要であること、思春期の子どもは小児医療から成人医療に移行する段階にあることが障壁となり、この年代に特化した支援のプログラムがないことが課題となっていることが明らかになった。そのため、国際シンポジウム「思春期・若年成人がん患者・サバイバーへの教育・医療・就労支援」に参加し、病気をもつ思春期の子どもの心理・社会的支援や家族支援を含めたトータルケアについて、海外の動向や支援の実際について理解を深めるとともに、同様の国際セミナーに参加し、患者・家族中心型ケアや高度実践看護師が行う思春期・若年成人がん患者のトータルケアについて理解を深めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
思春期に生体肝移植を受けた子どもについて理解を深めるための文献検討を行ったが、日本では先行研究がないため、海外の文献を中心に文献検討を行う必要があった。そのため、文献や書籍の収集に時間を要し、当初計画していた期間よりも文献検討に時間がかかった。また、平成27年度は、教員になった初めての年であり、学内演習や実習など研究以外の業務との調整が難しかったことも理由としてあげられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、計画的に研究を推進していくために、月2回は研究のために時間を確保するための業務調整を行い、以下の計画を進めていく予定である。 まず今年度の前期では、データ収集と分析を中心に行う。現在、インタビュー調査のためのフィールドにアクセスする手続きをとっているため、施設や病院からの承認が得られた後、順次データ収集を行い、思春期に生体肝移植を受けた子どものレジリエンスの構造を明らかにする。また、分析を進めながら、レジリエンスのプロセスで発揮される子どもの力に沿った『支援が必要な状況』を抽出していく。 後期は、前期に明らかになったレジリエンスの構造や、抽出した『支援が必要な状況』をもとに、子どもの生体肝移植看護の経験がある看護師にインタビュー調査を行い、移植後の生活の中で子どもが主体的に生きることや、子どもの力を発揮するための支援について語ってもらい、具体的な支援の内容を抽出し、ガイドラインの枠組みを作成する。
|