本研究の目的は、思春期に生体肝移植を受けた子どものレジリエンスを高める看護実践ガイドラインを開発することである。 平成28年度は、昨年度に引き続き【目標1】思春期に生体肝移植を受けた子どものレジリエンスの構造を明らかにするとともに、【目標2】レジリエンスのプロセスで発揮される子どもの力に沿った『支援が必要な状況と支援内容』の抽出を行い、ガイドラインを作成することであった。 本研究では、思春期に生体肝移植を受けた子どもを研究協力者としているため、研究協力者へのアクセスを現実的に遂行することができる方法について、小児看護や臓器移植の専門家、経験が豊かな実践家と情報交換を行い検討した。その結果、患者会から研究協力者へのアクセスを試みたが難航したため、子どもの臓器移植を行っている施設や移植後のフォローアップを行っている施設を中心に研究協力依頼の手続きを行った。研究協力者へのアクセスと並行して、レジリエンスや臓器移植に関する最新の知見についての文献検討を継続した。また、小児看護や臓器移植に関する学術集会、研修会等に参加し、思春期に生体肝移植を受けた子どもの特徴として、病気や肝移植による生命や自己概念の脅かしが、発達課題やアドヒアランスへの取り組みの複雑化につながっているということや、連続性の離断から自己を再構築する課題に取り組んでいるという示唆を得た。 今後は、対象者を学童期と思春期に広げ、生体肝移植後の子どものレジリエンスを高める看護実践ガイドラインの開発に取り組む。
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